今日のアフリカ
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勃発から2年のスーダン内戦とチャドへの影響
2025/04/19/Sat
4月15日で、スーダン内戦勃発から2年が経過した。この日からロンドンで、内戦の早期和平を目指して、19ヵ国を招いて国際会議が開催された。会議には、ブルハーンの軍事政権側も、ヘメティのRSF側も招待されなかった。軍事政権側は、UAE、ケニア、チャドといったRSFへの支援が疑われる国々が招待されたことを批判した。
同じ15日、RSFは独自の政府樹立を宣言した。おおよそ首都ハルツーム以東を押さえた軍事政権側と、ダールフールを中心に西部から南部を押さえたRSF側が、それぞれ政府を樹立して対峙する状況になっている。
スーダン内戦は周辺国を巻き込んだ地域紛争の様相を呈しているが、チャドは特にその影響を受けている。内戦開始以来130万人の難民がスーダンから流入し(16日付ルモンド)、東部国境付近には数十万の難民を受け入れた町もある。
チャド内政には不穏な動きが見られる。13~14日にかけて、マハマト?デビィ大統領は、治安、国防関係の高官約10名を罷免した。また10日には、大統領のイトコで、大統領警護隊トップや軍参謀長を務めたマハマト?イトノ(Abdelrahim Bahar Mahamat Itno)将軍が罷免されている。
デビィ大統領をはじめチャドの権力中枢はザガワ(Zaghawa)人が占めているが、彼らの多くはスーダン内戦でRSFを支援するデビィ大統領に批判的である。RSFはダールフールのアラブ系住民が中心を占め、彼らは内戦のなかでザガワ人をはじめとする非アラブ系住民に激しい暴力を行使し続けている。イトノ将軍も最近、ザガワコミュニティの会合で、デビィ大統領を厳しく批判していた(15日付ルモンド)。
今回の軍高官解任劇は、チャドの権力中枢における緊張の高まりを示している。これまでもチャドは、ザガワ人内部の対立による政治不安を繰り返してきた。若い権力者のマハマト?デビィ大統領は、この危機にどう対応するだろうか。(武内進一)
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南アフリカに対するトランプ政権の「いじめ」
2025/04/13/Sun
南アフリカに対して、トランプ政権が度を超した介入を行っている。3月30日付ニューヨーク?タイムズの報道によれば、"Mission South Africa"と命名されたプロジェクトで、プレトリアの空きオフィスをアフリカーナー「難民」の一時居住のために整備している。8200人以上の難民申請を受け、アサイラムを与える100人のアフリカーナーを選定したという。
その翌日に発表された「相互関税」でも、南アに対して31%の高関税が課された。
トランプ政権は、南アについて、白人農民に対するジェノサイドがあり、白人農民から土地を取り上げ、同盟国のイスラエルをジェノサイドでICJに訴えたと非難している。このうち3番目は事実だが、それ以外は嘘である。
「白人農民に対するジェノサイド」は、南ア国内で白人至上主義団体が述べていたもので、その主張をイーロン?マスクやトランプが広げた経緯がある。この議論は、今年2月南アの司法によって「全く事実ではない」と否定されている。
南アフリカ農村部に犯罪が多く、特に2000年代前半に農場襲撃が頻発したことは事実だが、これは白人も黒人も被害を受けている。それ以降、農場襲撃件数は減少しているし、特定のグループが標的にされているわけではない(4月12日付ファイナンシャルタイムズ)。
アパルトヘイト廃絶後も、南アの土地の過半を白人が所有している状況は変わらない。トランプ政権は南アフリカの土地収用法を批判するが、この法律は公共事業などに際しての土地収用の手続きを定めたもので、どの国にもある内容だ。白人農民の土地が黒人に奪われているという状況は、現在の南アフリカには全く存在しない。
一方、アフリカーナーのなかに、トランプの発言を歓迎するグループがいることは間違いない。アパルトヘイト廃絶後の立場の変化を受け入れず、米国にロビー活動を続けてきたグループが南アには存在する。「8200人以上の難民申請」の真偽はともかく、この機に米国に移住したいと考えるアフリカーナーがいても不思議ではない。
トランプ政権は、南ア国内の人種対立を煽り、分断を深めている。こうした行動を取る最大の要因は、南アがイスラエルをICJに訴えたことにあるだろう。南アが生意気で、目障りだという「いじめ」の論理である。
アメリカは、世界の「いじめっ子」になった。世界最大の軍事、経済大国が「いじめっ子」になり、国際政治経済を攪乱している。不幸なことだが、その前提を受け入れて対応策を考えるしかない。(武内進一)
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コンゴ民主共和国東部紛争和平プロセスの複線化
2025/04/12/Sat
コンゴ民主共和国東部紛争の和平プロセスが、複線化、複雑化の様相を呈している。アフリカ連合(AU)から指名されたアンゴラのロウレンソ大統領が仲介の任に当たってきたが、3月24日にその役目を返上した。
仲介役としてロウレンソは、2024年12月15日にチセケディとカガメの会談、2025年3月18日にコンゴ政府とM23の会談を設定したが、最後になって、前者はカガメが、後者はM23が来訪をキャンセルした。
一方同じ3月18日には、カタールのドーハでチセケディとカガメが会談した。カタールは両国との経済関係を梃子に2人を対話させ、一定の外交的成功を収めた。
しかし、アンゴラはカタールの動きに不満を抱いている。アフリカ外交の原則は、「アフリカの問題は、アフリカ域内で解決する」ことだ。カタールの動きは、アフリカの域内外交をないがしろにしているとの不満が燻っている。
ロウレンソの下で、東アフリカ共同体(EAC)と南部アフリカ開発共同体(SADC)とが並行して和平プロセスに関与する格好となっていた。しかし、2月8日のAUサミットで、この二つを一本化することが合意され、それを主導する5人の元国家元首が選出された。エチオピアのゼウデ(Sahle-Work Zewde)、中央アフリカのサンバ=パンザ(Catherine Samba-Panza)、ケニヤのケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)、ナイジェリアのオバサンジョ(Olusegun Obasanjo)、南アフリカのモトランテ(Kgalema Motlanthe)の5人である。
また、ロウレンソの後任として、トーゴのフォール?ニャシンベ大統領の名前が挙がっている。
とはいえ、5人がどのような役割分担とロードマップで和平プロセスに関与するのか、フォール?ニャシンベの役割は何か、カタールの和平プロセスとの関係はどうなるのか、など不明点は依然として多い。カガメとチセケディが一度会っただけで紛争が終結するほど、簡単な話ではないだろう。(武内進一)
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トランプ政権がレソトに50%の関税
2025/04/09/Wed
米国のトランプ政権は4月2日に「相互関税」を発表したが、そのなかで南部アフリカの小国レソトに50%もの関税を賦課した。レソトについて、トランプは3月、USAIDの事業を批判する文脈で「誰も名前を聞いたことのない国だ」と揶揄していた。
レソトは周囲を南アフリカに囲まれた国だが、米国向けのアパレル輸出を行うアジア系企業の工場が立地している。この産業部門には約36,000人が就業しているが、うち12,000~15,000人が中国、台湾、バングラデシュ企業の工場で働き、Levi's、Calvin Kleinなどのブランド名で米国向けの商品を生産している。これらの商品は、AGOA(アフリカ成長機会法)の優先枠を利用して輸出されてきた。
レソトが対米貿易黒字国であったため、50%もの「相互関税」を引き起こしたとみられる。レソトのアパレル産業を支える企業の親会社はアジアにあるので、高関税を受けて撤退する恐れがある。
「レソトは米国からの輸入品に99%の関税をかけている」との米国の主張に対して、レソト外相は、「はっきりさせておきたいが、それは正しくない。我々はSACU(南部アフリカ関税同盟)のメンバーで、共通の関税率7.5%を適用している」と述べた(4月8日付ルモンド)。
トランプ政権による「相互関税率」算出のいい加減さは既に指摘されているが、レソトの事例はこの新政策の不条理と不正義を示すよい例だ。米国はアフリカの産業育成の観点からAGOAを制定したのであり、レソトはその成功例のひとつであった。成功したが故に50%もの関税を要求されたわけである。自国が推進した政策を否定するトランプ政権が、世界に混乱をまき散らしている。(武内進一)
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ブルキナファソで「対テロ戦争」の民族紛争化
2025/03/29/Sat
3月10~11日、ブルキナファソ西部のソレンゾ(Solenzo)で多数の市民が虐殺され、その映像がSNSに流れた。犠牲者の多くはプール人(フルベ人)で、「祖国防衛ボランティア」(VDP)の攻撃を受けた(28日付ルモンド)。
ブルキナファソで、プール人はイスラム急進主義勢力(ジハディスト)と結びつけられてきた。この国でイスラム急進主義勢力の活動が広がるのは2015年頃からである。2014年にコンパオレ政権が市民革命で倒れ、その後に就任したカボレ(Roch Marc Christian Kabore)大統領は、ジハディストに対抗するために、モシ人の自衛組織Koglweogoやドゴン人のDozoなどを支援した。
カボレ大統領は2020年にVDPを法制化するが、VDPにはモシ人やドゴン人の自衛組織が加わった。VDPや軍には、ジハディストはプール人だとの見方が根強い。2022年9月のクーデタで政権を握ったイブラヒム?トラオレは、ジハディスト対策として「迅速介入部隊」(BIR)を設置した。BIRはVDPとともに、しばしばジハディストと関係があると見なされた市民を襲撃している。その多くがプール人である(21日付ルモンド)。
プール人に対する偏見は、広く浸透している。軍トップのトラオレは、2023年2月20日、プール人コミュニティと大統領官邸で面会し、「武器を置かないと、皆ぶっ殺す」、と脅しつけたという(28日付ルモンド)。人権団体からは、エスニシティを理由とした攻撃が行われているとして、ジェノサイドを危惧する声もでている。
エスニシティに基づく偏見が紛争を通じて強化されるのは、ルワンダをはじめ、幾度となく観察されてきたことである。サヘル地域では、同じメカニズムを通じて、プール人やトゥアレグ人という牧畜民に対する偏見や攻撃が強まっている。(武内進一)
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共同宣言をめぐる論争、法廷へ
2025/03/26/Wed
ナミビアの11の伝統的権威と野党の土地なき人民運動(LPM)は、昨年12月に内閣で承認された植民地期ドイツのジェノサイドに関する共同宣言を無効にして取り消すよう、法的代理人を通じて書簡をナミビア政府へ送った。
法的代理人であるムロルア?クルツ?カスペル社による説明によると、当事者らは、今週末までに緊急申請という形式で法的措置をとるために、高等裁判所に救済を求めている。書簡の中で、同社のパトリック?カウタ氏は、申請者を代表して、共同宣言は、植民地期ナミビアにおける大量虐殺に関する2006年の議会の決議と矛盾していること、そしてその決議は合法的または適切に撤回されたり、ナミビア政府の行為を許すために変更されたりしていないと主張している。2006年の議会決議では、ナマとヘレロの伝統的指導者らが交渉プロセスの先頭に立つこと、政府は単にプロセスを促進するだけだと説明されていた。
昨年12月12日付内閣決議では、政府は国際関係協力省による共同宣言への署名を承認し、ドイツとの交渉の終結を告げていた(「今日のアフリカ」、2024年12月31日)。加えて決議では、共同宣言の合意が、被害を受けたコミュニティが居住するとされる7つの特定地域の首長らに提出され、精査され、そののち国会承認のために提出されるように指示されていた。
25日付のナミビアン?サンの報道では、政府とともに交渉をおこなってきた団体代表のチャールズ?アイセブ氏の見解が紹介されている。同氏は、大臣が特使として7つの特定地域へ派遣され、昨年12月19日にすべての地域で協議が完了し、首長らが著名に賛成したと述べている。
しかし、ヘレロとナマの伝統的指導者らの各組織(OCAとNTLA)は、今年1月、政府の共同宣言への反発について声明を出していた(「今日のアフリカ」、2025年1月31日)。
アイセブ氏によると、今月末までにおこなわれる予定だった署名は先月のドイツの大統領選挙とナミビア初代大統領であるサム?ヌヨマ氏の死去により署名が遅れている。そのため、来月4月の第2週にドイツとの最終協議を行う予定という。引き続き、論争に関与するアクターらの動きを注視していく必要があるだろう。(宮本佳和)
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ナミビア、初の女性大統領就任
2025/03/26/Wed
21日、35回目のナミビア独立記念日に、同国初の女性大統領ネトゥンボ?ナンディ=ンダイトゥア氏が就任した。
ナンディ=ンダイトゥア氏は、第3代大統領のハゲ?ガインゴブ氏の死去に伴い2024年2月からナミビアの大統領代行を務めていたナンゴロ?ムブンバ氏の後任となる。
ナミビアでは昨年11月の大統領選挙で、1990年の独立以来政権を握ってきた南西アフリカ人民機構(SWAPO)が勝利した。同選挙で、ナンディ=ンダイトゥア氏は58%の票を獲得し、2位で25.8%を獲得した独立変革愛国党(IPC)のパンドゥレニ?イトゥラ氏を引き離した。しかし、SWAPOは35年間の政権下で着実に支持を失っている。昨年の世論調査では、同党が権力を失うか、かつての解放運動組織である南アフリカのアフリカ民族会議のように連立政権を組むことを余儀なくされる可能性が示唆されていた。最終的に、同党は議会投票の53%(96議席中51議席)を獲得し、かろうじて勝利した。
ナンディ=ンダイトゥア氏は現在72歳で、アパルトヘイト下の南アフリカからの独立を目指す解放運動に参加してから約60年を経て、大統領職に就いた。彼女は、リベリアのエレン?ジョンソン?サーリーフ氏、マラウイのジョイス?バンダ氏、タンザニアのサミア?スルフ?ハッサン氏に次ぐ、アフリカにおいて数少ない大統領職に就いた女性議員の一人である。
就任演説でも、男女平等と女性のエンパワメントについて強調し、2002年に同党が党規約を改正し、党のあらゆる組織における指導的地位に男女半々の代表者を置く方針(50/50方針)を決定したことに言及した。この方針の結果、ナンディ=ンダイトゥア氏を含め多くの女性が政府の要職に就くようになった。演説では、自身が女性であるから選択されたのではなく、実力によって選出されたことを強調し、「私が大統領に選出されたことは、あらゆる立場にある女性たちに、自らの存在をアピールするよう勇気づけることになるだろう」と述べている。
副大統領には、女性のルイカ?ウィットブーイ氏が任命され、新内閣を構成する14名の大臣のうち9名が女性である。3つの権力機関のうち2つは女性が主導し、ナンディ=ンダイトゥア氏が行政府を、サーラ?クーゴンゲルワ=アマディラ氏が立法府の議長を務める。アフリカの若い国において、女性が率いる新しい内閣が、これからどのように舵をとるのか注視される。(宮本佳和)
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スーダン内戦のチャド、南スーダンへの広がり
2025/03/17/Mon
2023年4月以来続くスーダン内戦は、深刻な人道危機を生み出し続けている。最近の戦況は、ブルハーン率いる国軍が首都を概ね制圧する一方、ヘメティが指導するRSFは西部ダールフールの支配を強めるという構図になっている。ここに来て、周辺国の政治的不安定化への影響が顕在化している。
今年2月下旬、RSFはケニアのナイロビで会合を開き、スーダンに「平和統一政府」を樹立するための基本憲章を採択した。この会合には、青ナイル州や南コルドファン州を地盤とするSPLM-North(指導者Abdelaziz Al-Hilu)も参加した。国軍側は当然この動きに反発し、駐ケニア大使を召還した(2月21日付ルモンド)。
準軍事組織RSFがスーダン国軍と激しい軍事的衝突を継続する背景として、UAE(アラブ首長国連邦)の支援が指摘される。RSFはUAEに金を密輸し、その見返りに支援を得ている。ダールフールを拠点とするRSFに、UAEはチャド経由で武器を流している。UAEは、チャドのマハマト?デビィ政権にも巨額の支援を行っている。
RSFはダールフールでアフリカ系住民を虐殺しているが、デビィ政権を中心的に支えるザガワ(Zagawa)人にも多くの犠牲が出ている。チャドのザガワ人エリートのなかには、マハマトがRSFを支援する現状に強い不満を持つ者も多い(3月11日付ルモンド)。
南スーダンへの影響も懸念される。3月7日、アッパー?ナイル州で南スーダン国軍とホワイト?アーミー(ヌアー人民兵で、マチャル副大統領に近い)が衝突した。サルヴァ?キール政権はUAEとの関係が近く、2月下旬のナイロビでの会合にはサルヴァ?キール政権に近いSPLM-Northが参加した。これに対する対抗措置として、スーダン国軍がホワイト?アーミーを支援したと見られている(3月11日付ルモンド)。
スーダン内戦では、首都から東部を押さえる国軍側と、ダールフールや南部を押さえるRSF側という地理的対立構造が顕著になり、RSF側には周辺国(チャド、南スーダン)を通じて軍事物資が流入している。この構図のなかで、政治的不安定がスーダンから周辺へと広がりつつある。(武内進一)
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チセケディ政権の外交と内政
2025/03/09/Sun
東部紛争をめぐってコンゴ民主共和国とルワンダの関係が緊張する中で、チセケディ政権は欧米に対する外交的働きかけを強めている。8日付ファイナンシャルタイムズによれば、先月末コンゴの上院議員がルビオ国務長官に書簡を送り、コンゴ軍への支援と引き換えに、米企業に鉱物資源採掘権を供与する提案を行った。米国側は、この協議を開始すると報じられている。
コンゴには銅、コバルト、リチウムなど重要な鉱物資源が豊富に埋蔵されているが、その採掘権のほとんどは中国系企業が握っている。書簡では、コンゴ国軍兵士の訓練や武器?装備品の供与と引き換えに、採掘権を米企業に与えることが提案されている。
欧米の支持をルワンダから自国に変えるために、チセケディ政権は様々な訴えかけを行ってきた。その成果もあって、2月以降、米国はルワンダに制裁を科し、英国やドイツがルワンダへの援助停止を表明した。2月21日には、国連安保理が初めてルワンダを名指しで非難した。チセケディ政権の外交政策は、この点で成果を挙げている。]
一方で、内政は危うい。チセケディの孤立が深まっている。2月、彼は主要野党指導者に向けて大同団結を呼びかけたものの、モイズ?カトゥンビやマルタン?ファユルなどはこれを拒否した。南アフリカに居住している前大統領ジョゼフ?カビラも、チセケディ政権への批判を強めている。カトリック教会関係者は、チセケディの方針に反して、M23を含む東部コンゴの武装勢力と広く対話するよう訴えている(2月28日付ルモンド)。
また、元UDPS(与党)暫定議長の要職にあったカブンド(Jean-Marc Kabund)が、2月27日付Jeune Afrique誌に掲載されたインタビューで、チセケディを厳しく批判している。与党内部も分裂しているのだ。
トランプ政権の実利指向を考えれば、鉱物資源をめぐるディールに応じてコンゴ軍に武器を供与するかもしれない。しかし、それがどの程度東部コンゴの戦況を変えるかは別問題である。(武内進一)
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ナミビアビール、ケニア市場へ再参入
2025/02/28/Fri
ナミビア?ブリュワリーズ?リミテッド(NBL)は、17日、主力製品のウィントフックビールをケニア市場で発売することを発表した。同社がケニア市場に参入を試みるのは、2010年に続いて2度目となる。
会見においてNBLのマネージングディレクター、ヴァルデマール?フォン?リエレス氏は、ケニア市場への参入は、NBLのプレゼンスを高め、輸出を通じて成長を促進するというより広範な戦略の一環であると述べた。加えて、同氏は、NBLのケニアへの進出は、単に事業の成長だけではなく、地元のパートナーとの永続的な関係を構築し、ナミビアのビール文化の文化的活力に貢献することでもあると述べている。
ケニアにおいては、ディステルグループの子会社であるケニア?ワインエージェンシーズ?リミテッド(KWAL)が流通パートナーになる。KWALは、オランダのビール醸造会社ハイネケンが過半数を所有している。ハイネケンは2023年に、特別目的会社であるハイネケン?ビバレッジ?ホールディングスを通じて、ディステルとNBLを買収していた。NBLは当初、東アフリカ?ブリュワリーズ?リミテッド(EABL)を通じてケニアで販売していたが、パートナーシップは2016年に終了した。
NBLは、1920年にドイツ人ビジネスマン2名が財政難に陥っていた南西アフリカ(現ナミビア)の4つの小規模醸造所を買収して設立されたビール醸造所である。ナミビアの首都ウィントフックに拠点を置く。同社ウェブサイトによると、輸出国は18か国(うちアフリカ諸国は10か国)である。(宮本佳和)
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